「庶民の街」 東京・大山で進む再開発! 池袋5分なのに“未開拓” 「坪65万円上昇」が映す東上線沿線の異変

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定期利用12%減という衝撃。苦境の東武鉄道が池袋至近の「大山」に投じる1200億円は、鉄道経営を一新する号砲だ。地価が5年で坪65万円急騰するなか、目指すのは輸送効率から住民支出の拡大への転換である。伝統の商店街文化と巨大資本が火花を散らす再開発は、人口減少下の沿線ビジネスにどのような解を示すのか。

商店街文化との摩擦

1980年ごろの航空写真(画像:国土地理院)
1980年ごろの航空写真(画像:国土地理院)

 ハッピーロード大山商店街の魅力は、1978年にふたつの商店街が手を取り合って築いてきた、日々の暮らしの積み重ねにある。しかし、再開発によってアーケードのうち約180mが取り壊されることになり、街の風景は姿を変えようとしている。2024年3月には、商店主らが高架化や道路整備にともなうアーケードの解体中止を求めて仮処分を申し立てるなど、現場の葛藤は深刻だ。

 地元の間に広がる不安は、もともと低層の商業施設が中心とされていた計画が、いつの間にか高層マンションを柱とする大規模なものへ様変わりしたことに端を発している。長年この地で暮らしてきた人たちからすれば、自分たちが守ってきた生活のあり方が後回しにされたと感じるのも無理はないだろう。地縁を大切にするこれまでの住民と、資産としての価値や効率を求める新しい住民。両者の間にある、避けがたい考え方の食い違いが浮き彫りになっている。

 街を動かす中心が、地域のつながりからマンションの管理組合のような利害をともにする集団へと移っていくなかで、これまで培われてきた文化をどう守り伝えていくか。「一生づきあいします」という商店街の誓いが、新しい街の形の中でも保たれるのか。経済的な自律を追い求めながらも、大切にしてきたものを失わないための知恵が、今まさに求められている。

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