北海道新幹線「遅延」は転機となるか? 19兆円の波及効果が示す道央経済の“新しい重心”

キーワード :
, , ,
JR北海道の再建計画は札幌延伸の遅延で揺らぎ、運輸赤字549億円が続く一方、ラピダスには最大6315億円の追加支援が決定。道央の人流変化を成長に転換できるかが焦点となる。産業転換の行方が問われる局面に入った

札幌延伸延期とラピダスへの期待

新幹線車両(画像:写真AC)
新幹線車両(画像:写真AC)

 JR北海道の再建シナリオに、激しい逆風が吹いている。最大の成長材料とみられてきた北海道新幹線の札幌延伸は、2030年度末の開業予定から大幅に遅れる見通しとなった。新函館北斗止まりの現状が続く限り、新幹線区間の収益性は上がらず、赤字が継続する。

 延伸を前提に進めてきた札幌駅周辺の大規模開発も、投資を回収するまでの期間が延び、計画そのものを見直さざるを得ない。鉄道や不動産、ホテルに商業を連動させて利益を伸ばす成長モデルが足止めを食らうことは、経営改善に向けた歩みを止めるに等しい。

 運輸事業で巨額の赤字を抱える同社にとって、非運輸事業での成長は欠かせない。延伸が延びたことで、新幹線の収益改善はもちろん、再開発が生む相乗効果や各施設の売上拡大も、すべて先送りとなった。

 維持が難しい「黄色線区」の負担をめぐる話し合いも難航しており、地域交通をどう守るかという重い課題に、解決の出口は見えない。次の成長をどこに見出すべきか。ここで注目したいのが、千歳市で建設が進むラピダスの半導体事業である。

 ラピダスはトヨタ自動車やソニーグループといった国内の大手企業が出資し、2nm以下の先端半導体を2027年に量産することを目指している。自力での成長を描きにくい今のJR北海道にとって、道央圏の人流や産業の仕組みを大きく変える外部の動きを取り込めるかどうかは、会社の行く末を左右するだろう。新幹線延伸という大柱を失った空白を埋める、実効性の高い候補といえる。

全てのコメントを見る