「庶民の街」 東京・大山で進む再開発! 池袋5分なのに“未開拓” 「坪65万円上昇」が映す東上線沿線の異変
定期利用12%減という衝撃。苦境の東武鉄道が池袋至近の「大山」に投じる1200億円は、鉄道経営を一新する号砲だ。地価が5年で坪65万円急騰するなか、目指すのは輸送効率から住民支出の拡大への転換である。伝統の商店街文化と巨大資本が火花を散らす再開発は、人口減少下の沿線ビジネスにどのような解を示すのか。
1200億円規模の駅前再編

大山で進む変化の核心は、駅前空間がこれまでの形を脱ぎ捨て、全面的に作り替えられる点にある。相対式ホーム2面2線を有する現在の地上駅は、かつてホームの前後に踏切が迫っていた。そのため10両編成の列車が停車しきれず、一部のドアを締め切る「ドアカット」という苦肉の運用を強いられていた時期もあったほどだ。
補助26号線の整備や駅前広場の拡充と並行して、東上線の約1.6kmにわたる区間の高架化が進み、8か所の踏切が姿を消す。これにより、運行トラブルのリスクが減って路線の信頼性が高まるはずだ。2030年度の完了を目指すこの事業は、駅の構造そのものを根底から一新させることになる。
具体的な開発の規模感も凄まじい。商店街と補助26号線が交差する「大山町クロスポイント周辺地区」などでは、高層マンションを中心とした開発が加速している。ピッコロ・スクエア地区では、約1.3haの土地に28階建ての高層棟が2棟並び、計571戸の住宅が供給される。この事業費は約630億円にのぼる。
さらに駅に近い地区でも約345戸の開発に約193億円が投じられる。鉄道の高架化費用である約428億円を合わせれば、エリア全体で動く投資額は1200億円規模に達する。