「深夜にタクシーなんて来ません」 80代の「約4割」が免許返納を選ばない街、鹿児島県の自治体が始めたライドシェア実証の結果とは
「午前0時」で足が途絶える地方の苦境。阿久根市が挑んだライドシェア実験は、8日間で利用17件、実働わずか2時間50分と採算の壁を露呈した。80代の4割超が免許返納を拒む超高齢化の現実。単なるデジタル化ではない、電話文化とデータ活用を融合した「移動の網」の再編は、地方再生の分水嶺となるか。
利用17件が物語る需要の蒸発

実証運行の結果を振り返ると、8日間での利用は17件。お世辞にも成功とはいい難い数字だ。採算ラインには遠く及ばず、南日本新聞デジタルの報道によれば、初日の利用にいたっては0件。2日目以降も1件から5件という低空飛行が続いた。
中心地を一歩離れれば山林や丘陵が広がり、移動に車が欠かせない地勢であることを考えれば、この結果は少し意外に映るかもしれない。だが、そこには2024年以降の深夜運行停止が影を落としている。夜は動けないという認識が、いつの間にか市民の間で当たり前になってしまったのだろう。
市内を南北に貫く国道3号沿いには24時間営業の店舗があり、潜在的なニーズはそれなりにあったはずだ。しかし、ふたを開けてみれば、ドライバー6人が計48時間勤務して、実際に客を乗せた時間はわずか2時間50分に過ぎなかった。
1回あたりの平均輸送距離2.7kmというデータも示唆的だ。採算を合わせにくい短距離の移動に需要が偏っている実態が浮かび上がる。阿久根タクシーの君島社長がこぼした
「夜はタクシーがいないというイメージが定着したからではないか」
という言葉は重い。供給が途絶えたことで、人々の夜間の行動範囲や経済活動そのものが縮んでしまった。その影響を色濃く反映した結果といえる。