率直に言う 磐越道バス事故を「運転ミスだけの問題」として片付けてはいけない――見落とされた構造要因とは
高校生ひとりが死亡し、20人が重軽傷を負った磐越道のバス事故。その背景には、運転手不足や貸切運賃の上昇、学校側の知識不足、契約確認の形骸化があった。事故118件の現実から、「教育移動」の安全をどう支えるかが問われている。
予算不足と安全確保の矛盾
一方で、学校側の予算は固定的で、運賃や人件費の上昇に追いついていない。すでに2023年3月7日の東京新聞でも報じられているように、公立中学校の部活動では、この数年で地域移行が進められている。教員ではなく、外部の指導者へ役割を移していく政策であり、国も推進している。
背景には、子どもの減少による活動維持の難しさに加え、教員の働き方見直しがある。しかし、この取り組みを進めるには、自治体の補助がない場合、家計から月4500円~5000円程度の負担が必要になるとの試算もある。大学のサークル活動で外部指導者を雇う場合を見ても、この数字は現実的だ。部活動やサークルによっては、さらに費用がかかる例もある。
しかし、長引く景気低迷のなかで、家庭側が負担できる額は今後さらに下がる可能性が高い。私立学校でも、少子化の影響によって、学費から部活動費を確保する余裕は小さくなっている。
こうした流れが強まれば、緑ナンバーの貸切バスを使った移動は難しくなっていく。安全を守るための費用は削れないにもかかわらず、部活動の予算事情と貸切バス運賃の上昇との差が大きく広がっているためだ。
教育と交通を結びつけ、若者を育てる取り組みのひとつとして、安全な移動環境を公的に支える視点も必要になる。今回の事故をきっかけに、その議論を進める必要がある。