率直に言う 磐越道バス事故を「運転ミスだけの問題」として片付けてはいけない――見落とされた構造要因とは
高校生ひとりが死亡し、20人が重軽傷を負った磐越道のバス事故。その背景には、運転手不足や貸切運賃の上昇、学校側の知識不足、契約確認の形骸化があった。事故118件の現実から、「教育移動」の安全をどう支えるかが問われている。
運行を支える契約構造の重要性
今回の事故をめぐる報道を振り返ると、ドライバーの体調や運転ミスに話が集まりがちである。しかし、それだけでは同じような事故が繰り返される理由は説明できない。
貸切バスの運行は、実務の面で「契約の進め方」に大きく左右される。
利用する側の申込み、運行を引き受ける側の受諾、双方の合意、さらに運行指示書を含めた内容共有という流れがある。本来であれば、事故報道の後に、申込書や引受書、運行指示書の有無がほとんど取り上げられていないことに疑問を持つべきだ。筆者が確認した限りでは、この点にきちんと触れていた報道は、新潟の地元メディアに限られていた。
国の告示やバス協会のひな型を見ると、運行引受書には一般に次のような内容を細かく記す必要がある。
申込者情報として、名称、住所、担当者名、旅行会社名や団体名。運送事業者については、バス会社名、住所、事業許可番号など。運行日時は、出発日時と帰着日時、それぞれの日付と時刻。行程には、出発地、経由地、目的地、休憩場所などが入る。車両については、台数、車種、座席数、トイレの有無など。乗務員は、ドライバーの人数や交代要員の有無。運賃料金は、合計額と費用の内訳。安全面では、乗車定員やシートベルト、注意事項などが記される。さらに、キャンセル規定を含む双方の合意事項も盛り込まれる。
実務では、「運送申込書」「運送引受書・乗車券」「運行指示書」を一体化した書式を使う例が増えている。国土交通省の参考書式をもとに、自社の書式を公開している事業者も多い。
もちろん一般論ではあるが、こうした書類のやり取りと、発注側・受注側の確認が当然のものとして行われていれば、発注から受注の段階で、無理のある運行計画や安全面の問題に気づきやすくなる。