率直に言う 磐越道バス事故を「運転ミスだけの問題」として片付けてはいけない――見落とされた構造要因とは
高校生ひとりが死亡し、20人が重軽傷を負った磐越道のバス事故。その背景には、運転手不足や貸切運賃の上昇、学校側の知識不足、契約確認の形骸化があった。事故118件の現実から、「教育移動」の安全をどう支えるかが問われている。
安全コスト上昇と運賃の新制度

既報の通り、バスドライバーの働き方見直しにともなう「2024年問題」が起きてから、すでに2年以上が過ぎた。貸切バス業界でも、ドライバー不足と労働時間規制によって、運行できる台数や時間に制約が強まっている。
人件費や運行費の上昇は避けられない状況にあり、燃料価格の高騰も続いている。こうしたなか、国土交通省は地域ごとに貸切バス運賃の下限額を定め、その額を下回らないよう運賃を決める方針を進めている。日本バス協会も下限運賃を公表している。
地域や車種によって差はあるが、国土交通省によると、新制度導入後、旧下限額から新下限額への引き上げ率は、
・関東:26%増
・近畿:25%増
・九州:32%増
となっている。また、東都観光バス(東京都新宿区)の案内によれば、関東から近畿まで大型バスで6時間かけて移動する場合、旧制度では9万3420円だった運賃が、新制度では10万9180円となり(17%増)、1万5760円の値上げになるという。
福岡県の公表資料では、大型車の基準額運賃は次のように示されている。
5時間の走行時間と、点検など2時間を合わせた7時間に、基準額6920円を掛けると4万8440円となる。さらに、250kmの走行距離に、1kmあたり150円の基準額を掛けると3万7500円となる。これらを合計した8万5940円が、税別での最低運賃となり、事業者はこの額を下回らない範囲で運賃を届け出る仕組みになっている。