率直に言う 磐越道バス事故を「運転ミスだけの問題」として片付けてはいけない――見落とされた構造要因とは

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高校生ひとりが死亡し、20人が重軽傷を負った磐越道のバス事故。その背景には、運転手不足や貸切運賃の上昇、学校側の知識不足、契約確認の形骸化があった。事故118件の現実から、「教育移動」の安全をどう支えるかが問われている。

運行指示書の義務と内容の共有

マイクロバスのイメージ(画像:写真AC)
マイクロバスのイメージ(画像:写真AC)

 さらに、貸切バスの運行指示書は、一般貸切旅客自動車運送事業で、ドライバーに行程や安全面の指示を出すための書類である。旅客自動車運送事業運輸規則第28条の2で作成が義務づけられており、法令で定められた項目を漏れなく記すことが求められる。発注側にも内容を共有するのが通例だ。

 日本バス協会などの確認資料では、主に次のような記載項目が求められている。

 事業者情報として、事業者名や営業所名などを記し、許可内容と一致させる。契約相手については、運送契約の相手方の氏名や名称、旅行会社名などを記載する。乗車日などは、運行日や出庫・入庫日時を明確にし、西暦や和暦を用いて記す。

 車両情報では、車号やナンバーなど、実際に使う車両と一致させる必要がある。ドライバーについては、氏名や交代ドライバーの有無を記し、交代配置の基準とも関わる。行程では、発着地、経由地、出発・到着予定時刻を記載し、休憩場所も明示する。

 指示内容には、休憩や仮眠、速度、安全面の注意事項などが含まれ、長時間運行では特に重要となる。乗車人員については、予定人数や添乗員の有無を記し、定員超過を防ぐ。さらに、事故や遅延時に備え、緊急連絡先の電話番号なども必要となる。

 しかし現場では、こうした流れが十分に機能せず、書類のやり取りが形だけになっている可能性もある。取り上げられている白バス問題も、「違法かどうか」という話だけではなく、契約確認が十分に行われていない状況のなかで起きうる問題ともいえる。

 今回の事故から考えるべきなのは、こうした契約の流れが存在していることを、社会全体で共有することだ。

 運送引受書や、安全管理の中心となる運行指示書について、発注側と受注側の双方が理解し、発注者と事業者の責任範囲を曖昧にしないことが求められる。

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