「再開発したのに、なぜ不便なのか?」 小岩駅前“評価3.2”施設が映す、下町再開発の大難題
均一化する街並みと減少リスク

小岩に限らず、各地で増えている下町の再開発マンションについて、不動産評論家でオラガ総研代表取締役の牧野知弘は、「現代ビジネス」で次のように述べている。
「駅前商店街などの地権者が、共同して再開発を行うケースが増えています。新しくタワマンをつくって、低層階に商店を移すんです。北区の十条や葛飾区の立石、江戸川区の小岩などの下町でよく見られます。どの駅前も似たような風景になるのが特徴的です。
そもそも住民の出入りが少ないので、まず街が廃れます。タワマン内だけでなく周囲に住む住民もいなくなることで資産価値が落ちていくリスクが高いです」
また牧野氏は「文春オンライン」でも、下町で進む市街地再開発事業について触れている。この事業では、
「土地の高度利用と都市機能の更新を目的にしているために、高層建築物を建てる」
こと自体が中心になりやすいという。一方、下町ではオフィス需要が大きくないため、結果として多くがタワーマンションになる。そして、大手デベロッパーによって販売された後は、低層階に元からの住民の店舗や東京資本の店、一部の公共施設が入る形で落ち着くケースが多いと牧野氏は指摘している。その結果、各地で似たような街並みが増え、地域ごとの特色が薄れやすいとしている。
実際、「文春オンライン」の記事では、小岩、中野、三河島、金町、武蔵小金井の再開発イメージが並べられ、「どの街か当ててほしい」というクイズ形式で紹介されている。著作権の都合で本稿には掲載できないが、どれもかなり似通っており、簡単に見わけられる内容ではなかった。筆者もほとんど判別できなかった。牧野氏のような不動産分野の専門家から、このような指摘が出ている点は重く受け止める必要があるだろう。
小岩は、週刊ポストの「10年後に不動産価格が「上がる駅」「下がる駅」ランキング1000」の「首都圏のワースト200(2035年までの人口減少数)」でもワースト12位に入っている。減少数は1745人で、2025年比では3.9%減となっていた。
首都圏の下位ランキングは、都心まで通勤に1時間以上かかる地域が多いなか、小岩の順位は目立つものとなっている。23区内では、団地住民の高齢化が進む高島平(ワースト4位、2178人減少、2025年比5.7%減)や、武里(ワースト5位、2035人減少、2025年比10.5%減)に次ぐ水準だった。
これはAIによる分析結果ではあるが、牧野氏が述べたように、再開発によって元からの住民が減り、新たな流入も伸びない状況が影響した可能性はあるかもしれない。