トヨタ「989万台」独走――日産、ホンダはどうなる? 限られた市場を奪い合う8社体制、雇用を支える土台に危機

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トヨタが989万台で過去最高を更新する一方、日産・ホンダは減産に沈んだ。国内8社の明暗は鮮明だ。EV化と中国勢の台頭で必要規模は700万台時代へ――分断された体制は生き残れるのか。

地域経済と雇用慣行が支えた多社体制の歴史

日本メーカーの国内販売・輸出海外生産推移(画像:経済産業省)
日本メーカーの国内販売・輸出海外生産推移(画像:経済産業省)

 今の8社体制は、戦後の混乱期に連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)が推し進めた財閥解体や地方分散政策の流れを汲んでいる。淘汰を免れた各社は、国内での激しい競り合いを通じて技を磨き、海外でも引けを取らない品質と安さを手に入れた。

 それぞれのメーカーは特定の地域経済と深く結びつき、地元の働き口や税収を支える柱として育ってきた。終身雇用をはじめとする日本特有の慣習も、組織のまとまりを優先させ、企業の統合を遠ざける一因となった。

 これまで体制が持ちこたえてきたのは、エンジンを中心とした高度なモノづくりの技術が他者の入り込む隙を与えず、国内の安定した需要に寄り添うことで利益を出せたからだ。系列を軸とした分業の仕組みがうまく回り、規模が小さくてもともに生きていける余裕があった。

 しかし、地域と密に重なり合った構造は、変革が迫られる局面ではかえって歩みを止める重荷となる。かつては効率的だった系列ごとの仕組みも、開発費が跳ね上がる今の状況では、似たような資金投下を繰り返すばかりの、効率の悪い遺物と化している。地元の生活を守らなければならないという使命感は、経営の自由な判断を縛り、必要な統合を先送りさせる停滞を招いている。

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