トヨタ「989万台」独走――日産、ホンダはどうなる? 限られた市場を奪い合う8社体制、雇用を支える土台に危機

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トヨタが989万台で過去最高を更新する一方、日産・ホンダは減産に沈んだ。国内8社の明暗は鮮明だ。EV化と中国勢の台頭で必要規模は700万台時代へ――分断された体制は生き残れるのか。

中国勢の躍進と次世代投資が招く経営リスク

メーカー国籍別の新車販売台数シェア(2020年/2025年上期)(画像:ひろぎんホールディングス)
メーカー国籍別の新車販売台数シェア(2020年/2025年上期)(画像:ひろぎんホールディングス)

 日本の自動車産業は550万人の雇用を支え、数万社もの取引先が連なる巨大な産業群を形作っている。地方経済の柱ともいえるこの土台が、今、これまでにない危機にさらされている。

 最大の要因は中国メーカーの躍進だ。彼らはEVや電池、デジタル技術を組み合わせ、車をソフトウェア中心の製品へと作り変えてしまった。日本が磨き上げてきた、複雑な部品を緻密に組み合わせる製造手法は、開発の速さが求められる今の競争下では、かえって効率を落とす足かせになりかねない。熟練の積み重ねが、皮肉にも意思決定を遅らせる一因となっている。

 次世代技術の開発に投じる巨額の資金も、各社の体力を削っている。電動化や自動運転、ソフトウェア基盤を整えるための費用は膨れ上がる一方で、生産規模が小さい企業ほど、車一台あたりにかかる投資の重みが増していく。十分な販売台数を持たない企業は、注ぎ込んだ資金を効率よく回収できず、財務が悪化してさらに競争力を失う。

 加えて、米政権の関税政策が、日本から車両を送り出すこれまでのビジネスのあり方に厳しい条件を突きつけた。特定の市場に頼り切りで、現地での生産体制が不十分な企業にとって、これまでの供給網はそのまま経営を脅かす危うさへと変わった。市場の激しい変化にすぐさま応えられる体制がなければ、個々の企業が自力で生き残る道は、厳しさを増すばかりだ。

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