後絶たぬ「親子3人自転車」事故 車体にひそむ構造的課題と意外な解決案とは

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大人ひとりと子どもふたりの計3人が乗れる「子ども乗せ自転車」。転倒による事故がしばしば発生し、死亡に至るケースも少なくない。事故を少しでも減らすため、課題と対策について考える。

欧州の親子自転車、日本と異なる形状

日本の親子自転車のイメージ(画像:写真AC)
日本の親子自転車のイメージ(画像:写真AC)

 個人的には重心が高くなるうえに、前側のチャイルドシートはハンドルに装着しているなど、運転操作に影響を及ぼす可能性が大きいこの構造には、疑問を抱いていた。

 というのも筆者がコロナ禍前まで、欧州にひんぱんに足を運び、日本のそれとは違う現地の子ども乗せ自転車をいくつも見てきたからである。

 欧州の子ども乗せ自転車は「ファミリーカーゴバイク」と呼ばれることが多い。乗用の自転車をベースにした日本とは違い、カーゴバイク、つまり荷物を運ぶための自転車の派生形が主流だ。

人と荷物という違いはあれど、重量物を運ぶという目的は同じなので、合理的な考え方だと感心している。

 そのデザインは日本のふたり同乗用自転車のように画一化されたものではなく、かの地の創造性の豊かさを反映して、とにかくバリエーション豊か。なかでも多いのが、車体を前後に伸ばし、車輪の間の低い位置に子供を乗せる車体が多いことだ。

 たしかにこうすれば重心が低くなるし、車輪の間に重量物があるので、安定感は格段に増す。

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