「パネルのないトラックは、お荷物だ」 排出シェア2.7%の日本に迫る、世界ルールの包囲構造
世界のCO2排出347億tのうち日本は2.7%。脱炭素が競争条件へ変わるなか、神奈川の3000万円支援や日産実証(1日23km上乗せ)が示すように、物流と車両価値の基準は再定義されつつある。
実証主導型補助政策の進展

今回の走行試験で使われるカルコパイライト太陽電池は、銅などを主原料とする無機化合物から作られたパネルだ。主流のシリコン型と同じくらいの発電能力を持ちながら、薄くて軽く、おまけに壊れにくい。この強みがあれば、荷物を積める量を減らさずに、車そのものに発電機能を持たせることができる。
実証試験では、このパネルで生んだ電力を、荷室を冷やす冷凍機の電源として使う。走り続けているときだけでなく、止まっている間の発電量や、どれほど燃料を節約できるのかを、実際の現場に近い環境で見極めていく。もともと冷凍機は、走るためのエネルギー以上に燃料を食う場所だ。ここを電気でまかなえるようになれば、外から燃料を買い続ける負担を減らすことにつながる。
こうした試みを重ねることで、太陽光を取り入れた低温物流車がどれほどの力を発揮するかを数字で示し、使い勝手の良い仕組みを整えていく。さらにペロブスカイト太陽電池といった新しい技術を組み合わせ、太陽光を使い切る物流の形を目指していくという。
これは、車をただエネルギーを使い果たしていく存在から、自らエネルギーを生み出す資産へと変えていく試みだ。冷やすために莫大な力を使い続ける低温物流の世界において、自分の力で電気をまかなえることは、将来のコスト高を避け、商売を続けていくために欠かせない要素となるだろう。