「BYDに乗れば反日ですか?」 115万円のEV補助金格差が示す、環境から経済安保への転換――なぜ制度は世論も分断したのか

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EV補助金の新ルールで、BYDは15万円、国内勢は最大130万円。115万円の格差は産業保護か市場歪みか。川越の新店舗開設で示された違和感が波紋を広げている。制度変更が市場の分断を鮮明にしている。

公平性と制度運用の問題

BYD車(画像:BYD JAPAN)
BYD車(画像:BYD JAPAN)

 2026年4月3日、埼玉県川越市。BYDオートジャパンの東福寺厚樹社長は、新店舗開設の式典で「公平感を持った運用を求める」と述べた(『日本経済新聞』2026年4月3日付け)。その言葉には、どこか重さがある。語り口の背後には、現行の仕組みに対する拭いきれない違和感がにじんでいる。

 経済産業省がこの4月から導入した電気自動車(EV)向け補助金の新ルール。これが今、市場に波紋を広げている。中国の比亜迪(BYD)が展開する車種への補助金は、これまでの35万~45万円から

「15万円」

へと大幅に目減りした。その一方で、国内産の電池を積むトヨタ自動車の「bZ4X」などは、上限となる130万円を維持している。

 両者の差は、実に115万円。この数字は、一企業の結果論として片付けられるものではないだろう。むしろ

「日本のモビリティ産業が抱える根深い課題」

が、そのまま形になったようにも映る。BYD側も手をこまねいているわけではない。3月までに注文を受け、納車が4月以降にずれ込む利用者に対しては、目減りした20万~30万円分を自社で補填する苦肉の策を講じた。だが、115万円という差は、海外メーカーが日本で事業を続ける上での、目に見えない

「参入の重み」

そのものだ。この格差が私たちに突きつけているのは、価格競争の是非だけではないはずだ。

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