「BYDに乗れば反日ですか?」 115万円のEV補助金格差が示す、環境から経済安保への転換――なぜ制度は世論も分断したのか

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EV補助金の新ルールで、BYDは15万円、国内勢は最大130万円。115万円の格差は産業保護か市場歪みか。川越の新店舗開設で示された違和感が波紋を広げている。制度変更が市場の分断を鮮明にしている。

海外メーカーの不利拡大

埼玉県川越市「BYD AUTO 川越」のイメージ(画像:BYD JAPAN)
埼玉県川越市「BYD AUTO 川越」のイメージ(画像:BYD JAPAN)

 今回のルール変更によって、環境性能の優劣を競う段階は事実上終わりを告げた。いまや自動車は、国の安全や経済を守るための戦略物資として扱われ始めている。評価の仕組みも一新された。車そのものの性能を100点満点とする一方で、充電インフラの整備や人材育成、サプライチェーンの安定性といった企業の取り組みを100点とし、合計200点で採点する方式に切り替わったのだ。

 この新制度のもとで、海外メーカーは一転して厳しい立場に立たされている。なかでも国内生産の電池を用いる企業を優遇する姿勢からは、国内の供給網に強みを持つ勢力を下支えしようとする意図が色濃く漂う。

 具体的な数字がその実態を物語る。BYDはメーカー別で補助額が最低水準に沈み、アウディや現代自動車も大幅な減額を余儀なくされた。その一方で、テスラは2025年比で40万円増の最大127万円という高い水準を保っている。この明暗を分けたのは、純粋な技術力の差というよりも、日米間の合意といった

「政治的な背景」

が色濃く反映された結果だろう。補助金はもはや環境負荷の低さに対する見返りではない。特定の国への依存を遠ざけるための、実質的な参入の壁へと姿を変えている。

 とりわけ、BYDが各地で急速充電器の設置を進めている実態がありながら、「充電設備の整備」項目で0点と評価された事実は重い。政府が求めているのは、単純な設置台数ではない。国内の既存の仕組みにどれだけ足並みを揃えているか――そうした無言の要求が透けて見える。

 115万円という巨額の差は、いまの日本がどのプレーヤーを招き入れるのかという線引きを、残酷なまでに明確に示したものだ。この予算配分は、日本が進もうとする方向性そのものを映し出している。

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