成田空港用地「強制収用」を検討! 「流血の記憶」か、「アジアの競争力」か? 89.7%で止まる拡張計画、その先にある判断とは
成田空港は発着50万回体制を目前に、用地確保89.7%という壁に直面する。残るわずか10.3%が全体を止め、全面供用は1年以上遅れる見通しだ。強制取得か対話継続か――過去511件の対立の記憶を背に、日本の国際競争力を左右する判断が迫られている。
拡張計画の要点

成田空港が挑む大規模な拡張計画。その柱となるのは、既存のB滑走路を1000m延ばして3500m級へと引き上げること、そして新たに同規模のC滑走路を設けることだ。
これらの整備が完了すれば、年間の発着枠は現在の34万回から
「50万回」
へと大きく跳ね上がる。韓国の仁川国際空港をはじめ、激しさを増すアジアの拠点空港との競争にようやく土俵を同じくできる。しかし、2026年3月末時点での用地確保率は89.7%。この数字が、全体の歩みを足止めしている。
B滑走路については確保率が99.5%に達し、2029年度内の供用開始がようやく現実味を帯びてきた。その一方で、新設されるC滑走路予定地の取得が難航を極めている。
事態は深刻だ。この遅れにより、2029年3月の全面供用は1年以上先送りされる見通しとなった。国土交通省の予測によれば、2029年度には発着回数が現行の上限である34万回に達してしまうおそれがあるという。
航空需要が力強く伸びるタイミングで、器を広げられない。これは経営にとって手痛い損失だ。とくに各社がしのぎを削る午後の時間帯など、ニーズの高い枠を増やせなければ、成田が国際的な路線網の「本線」から外される事態も否定できない。わずか10.3%という未取得地が、50万回という日本の空の悲願を前に、高く厚い壁として立ちはだかっている。