欧州車「ハイオク指定」の不都合な真実――なぜ「本国の大衆車」は日本で高級燃料を求めるのか?
日本のガソリンはJISでRON89以上のレギュラー、96以上のハイオクに区分され、欧州のRON95/98体系との差が輸入車の燃料選択と維持コストを左右する。価格差は約10.8円/L、年間1万km走行で約9000円の負担が生じる一方、欧州車は24万台規模で市場に定着している。
燃料差コストと欧州車選択の継続性

資源エネルギー庁の石油製品価格調査によれば、2026年3月9日時点の全国平均小売価格はハイオクが172.6円/L、レギュラーが161.8円/Lで、その差は約10.8円/Lとなる。この差は月ごとの振れはあるものの、2022年から2024年の多くのデータを見ても、おおむね10円前後の水準に収まっている。
ここで年間の走行距離を1万km、燃費を12km/Lと置くと、必要な燃料は約833Lになるため、価格差を11円/Lとすれば年間の追加負担はおよそ9000円程度にとどまる計算だ。数字そのものは一度整理して眺めると、重なって見えていた負担感がやや輪郭を持つ。
一方、日本自動車輸入組合(JAIA)の統計では、2025年1月から12月の外国メーカー車の新規登録台数は24万3,129台に達している。ブランド別ではメルセデス・ベンツが5万857台、BMWが3万5729台、フォルクスワーゲンが3万1031台となり、欧州ブランドが上位を占める構図は変わっていない。登録台数の規模だけを見れば、一定の層が継続的に市場を支えている様子が読み取れる。
ハイオク指定による年間約9000円の負担増があるにもかかわらず、この水準の登録台数が維持されている事実は、利用者が燃料価格の差を一定程度受け入れていることを示している。むしろこの差額は、欧州基準の走行性能や安全性を得るための継続的な支払いとして、日常のなかに織り込まれていると見る方が実態に近い。
数字の並びをそのまま追うと、負担の大きさよりも、選択の継続性の方が前に出てくる印象が残るのだ。