欧州車「ハイオク指定」の不都合な真実――なぜ「本国の大衆車」は日本で高級燃料を求めるのか?

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日本のガソリンはJISでRON89以上のレギュラー、96以上のハイオクに区分され、欧州のRON95/98体系との差が輸入車の燃料選択と維持コストを左右する。価格差は約10.8円/L、年間1万km走行で約9000円の負担が生じる一方、欧州車は24万台規模で市場に定着している。

ダウンサイジングターボと高オクタン燃料依存の構造

年々厳しくなる欧州CO2規制に対し、なかなか目標達成が難しい現状(画像:JATO)
年々厳しくなる欧州CO2規制に対し、なかなか目標達成が難しい現状(画像:JATO)

 欧州でハイオクを必要とするエンジンが多い背景には、二酸化炭素(CO2)の排出を強く抑える規制と、それに対応する技術の進展がある。欧州連合では乗用車の平均CO2排出量を95g/km(旧NEDC基準)とする規制が2021年から全面的に適用されている。この数値は現行のWLTP基準に換算すると、おおむね110g/km前後に相当する。この目標に合わせるかたちで、欧州メーカーはエンジンの小型化と電動化を組み合わせてきた。

 その流れのなかで広がったのがダウンサイジングターボである。排気量を抑えたガソリンエンジンにターボを組み合わせ、少ない燃料で必要な出力を得る考え方だ。これにより排ガスや燃費の基準に対応しやすくなり、CO2削減にもつながる。排気量が小さくなることで機械的な損失も減り、走行条件によっては従来の大排気量エンジンより燃費が良くなる場合もある。

 重要なのは、この技術が欧州の規制への対応として発展してきた点にある。高い効率で燃焼させるには、強い圧縮や高い過給圧に耐える燃料が必要となり、高オクタン価ガソリンが前提になりやすい。結果として欧州車が日本でハイオクを求めるのは、現地の環境目標に合わせて成立した技術の条件を、そのまま燃料の選択として受け取る構図でもある。

 欧州の規制対応から生まれた負荷が、日本では燃料費という形で表に出ているともいえる。

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