「自分だけが危険を負わされるのか」 明日から青切符――歩行者・自転車・ドライバーは“全員被害者”なのか? 三すくみ対立の正体とは

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2026年4月施行の自転車「青切符」制度は、68.8%が“利用継続”と答える現実の中で始動する。3269件の事故と99.9%の違反率を背景に、罰則先行か環境整備か、負担の行方が問われている。

制裁を超えた通行環境の抜本的見直し

仕事と家庭の両立を希望する主婦・主夫層に対する「自転車の青切符」に関するアンケート調査(画像:ビースタイルホールディングス)
仕事と家庭の両立を希望する主婦・主夫層に対する「自転車の青切符」に関するアンケート調査(画像:ビースタイルホールディングス)

 4月1日の施行は止められないが、この三者の対立をほどくには、反則金の徴収そのものを目的にしてはならないだろう。

「集めた資金や記録をどう使うか」

が、都市での移動のしやすさを左右する。筆者は、罰則中心の運用から距離を取り、通行環境の整備を進めるべきだと考える。まず必要なのは、

・通る場所の確保
・路上駐車への対応の強化

である。車道を走るうえで最大の障害は路上駐車であり、自動車の利便性の裏で自転車が危険を負う形が続いている。通行帯をふさぐ車は、自転車を車道の中央へ押し出し、事故の危うさを高める。通行帯への駐停車には、自転車と同等かそれ以上の厳しい対応を取ることが、安全に走れる環境の前提となる。

 次に、責任の分け方を見直す必要がある。ネット上でも指摘されているように、逆走や信号無視などはっきりした違反が関わる事故については、

「費用の配分」

を実態に合わせて見直すべきだろう。これにより、利用者がルールを守る意味を理解しやすくなる。免許を持つ人と持たない人の間で不公平が生じないようにする配慮も欠かせない。

 あわせて、教育と周知の取り組みも強める必要がある。前述のとおり、内容を理解している人が1割程度にとどまる状態で取り締まりを始めれば、現場の混乱は避けにくい。反則金収入は一般の財源に混ぜるのではなく、

・見えにくくなった標識の整え直し
・幅広い世代への交通教育

に優先して使うべきではないか。取り締まりは短い期間の安全にはつながるが、それだけでは足りず、小中高や大学、高齢者までが基礎的な知識を持つ仕組みが必要になる。

 自転車は日々の移動を支える重要な手段であり、新しい制度が不安を広げ、移動の自由を狭めるものであってはならない。今回の三者の対立は、

「古い道路のつくりと新しいルールのズレ」

から生じている。この制度が安全につながるのか、それとも生活の費用を増やすだけにとどまるのか。明日からの現実を冷静に見ていく必要があるだろう。

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