「アフィーラ」はこのまま消えてしまうのか? ホンダ最大2.5兆円損失で崩れた連携、分業モデルの限界とソニーの岐路

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ホンダがEVで最大2.5兆円の損失を見込み、主力開発を打ち切った。アフィーラは生産の前提を揺るがされ、純損失は518.6億円に拡大。分業モデルの限界が露呈するなか、ソニーは“車”を超えた収益の道を描けるか。

新興勢との協業による速度向上

ソニー・ホンダモビリティ アフィーラ1(画像:ソニー・ホンダモビリティ)
ソニー・ホンダモビリティ アフィーラ1(画像:ソニー・ホンダモビリティ)

 ソニーには、生産に関わる資産を持たない方向へ事業を移す余地がある。

 有力なのは、台湾の鴻海精密工業やオーストリアの車開発・生産受託大手マグナ・シュタイヤーといった受託製造を主とする企業との提携だろう。鴻海は「MIH」という土台を自社で整え、分業による生産を軸に展開を進めている。こうした枠組みを使えば、ホンダとの一体型の体制が抱えていた制約から距離を置き、ソフト主導で車両の構成を柔軟に組み立てやすくなる。ソニーの技術的な強みを、より直接的に生かせる形だ。

 また、土台の外販に前向きなルーシッドやリヴィアンといった新興メーカーとの連携も視野に入る。これにより、2025年3月期に518.6億円まで膨らんだ純損失を抑えつつ、開発の速さを引き上げる余地がある。加えて、車の販売で利益を追うのではなく、独自OSなどソフト分野を他社へ供給する事業へ重心を移す選択も現実味を帯びてきた。

 ソニーの強みは、娯楽分野と世界首位の画像センサーにある。これらを組み合わせて他社の車に組み込み、「ティア0.5」としての立場を固めれば、特定の提携先に頼る不安は小さくなる。生成AIや仮想空間と結びついたソフトの強みをどう生かし、移動とは別の価値を示せるか。そこが事業の行方を左右する。

 車としての完成を待たず、車内の情報の主導権を握る方向へ重心を移す。そうした道を選べば、アフィーラという名に縛られずとも、ソニーが描いてきた将来像を形にする余地は残るだろう。

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