「もう根性論では守れない」――物流トラック事故「46.7%」減の裏で進む、ドライバー状態の可視化とは?
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事業用トラックの死傷事故は10年で46.7%減少した一方、2024年も死者は2663人に上る。衝突回避技術だけでは埋めきれない領域として、ドライバーの健康状態を数値で捉え、事故を未然に防ぐ取り組みが広がり始めている。
健康起因事故の実態と影響

国土交通省が2025年12月に公表した「健康起因事故防止に向けた取り組みについて」によると、トラックドライバーおよそ85万人に対し、2024年の健康起因による事故報告件数は136件であった。
内訳は、衝突や接触をともなわない業務の中断などが73件、物損事故が54件、人身事故が9件となっており、報告のおよそ半数が交通事故に直結している。この数字は、体調に異変が生じた場合、経験を積んだドライバーであっても車両の制御が難しくなる可能性を示している。ドライバーひとりの離脱が、そのまま配送網の遅れにつながる運行体制においては、無視できない負荷となる。
こうした課題を踏まえ、enstemはドライバーの過労や体調不良、そこから生じる集中力の低下を把握できるようにした「Nobi for Driver」を開発した。スマートウォッチを使い、業務中の心拍数など体の状態に関するデータを収集し、蓄積した情報をAIが分析することで、運転前の体調確認や運転中の異常の兆しを捉える仕組みを備えている。
点呼の場面では数値をもとに体調の変化を確認でき、業務の最中も継続して状態を追うことができる。緊急性が高い場合には、ドライバーと運行管理者の双方に通知が届き、健康起因の事故や居眠り運転を避ける手立てとして活用が進んでいる。外側からの申告に頼るのではなく、体の内側の変化を手がかりに異常の兆しを早めに捉えようとする取り組みである。