「ここまで差がつくのか……」 中古査定で「マニュアル車」の扱いが180度変わってしまったワケ――需要と市場構造が生んだ評価の分かれ目とは
AT比率が98%超に達した日本では、免許の約68%もAT限定となり、中古車市場でもATが主流だ。一方、MTは希少性や用途により評価がわかれ、実用車と趣味車で価格差が拡大。流通構造と需要の違いが査定額を左右している。
需要集中と在庫回転

軽自動車やコンパクトカー、ミニバンなど日常で使われる車はAT車の比率が高く、購入者の多くがATを前提としている。中古市場でもATへの需要が集中しているため、同じ年式や走行距離であればAT車の方が早く売れる傾向がある。
都市部の渋滞や起伏のある場所での走行を考えると、操作の負担が少ないATを選ぶ人が多い。家族にAT限定免許の保有者がいる場合は車の共有が難しくなるため、結果としてATが標準となっている。中古車販売を行う側にとって重要なのは、
「仕入れた在庫をどれだけ早く現金に変えられるか」
という速さである。幅広い需要があるAT車は動きが早く、すぐに利益につながる資産となる。一方で、買い手が限られるMT車は長く在庫として残るおそれがある。販売店はこうした在庫の滞りを見込んで査定を行うため、MTの評価額は上がりにくいのだ。
さらに、衝突被害軽減ブレーキなどの安全支援機能はATとの連動を前提に作られている。こうした機能を十分に使いにくいMTの実用車は、市場での評価が下がる要因を抱えている。