成長を阻む三要素――水・エネルギー・教育の壁【短期連載】インドは自動車産業にとって桃源郷となり得るのか(4)

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GDP世界4位・市場3位のインドは有望だが、水はひとり当たり1486tへ低下、電力ロス19.4%と基盤の弱さが残る。トヨタの資源データも踏まえ、水・電力・人材の課題が成長の制約となる現実を検証する。

教育改革と進学率引き上げ

トヨタ・キルロスカ・モーターのウェブサイト(画像:トヨタ・キルロスカ・モーター)
トヨタ・キルロスカ・モーターのウェブサイト(画像:トヨタ・キルロスカ・モーター)

 人的資本の質を高めるには、教育の充実が欠かせない。インド政府は4年ぶりに教育制度を見直し、国家教育施策2020を策定した。この政策では、高等教育の進学率を2018年時点の25%未満から、2030年までに50%へ引き上げる目標を掲げている。質の底上げを進め、それを経済成長につなげるには、初等・中等教育の充実が前提となる。教育制度も、従来の10+2の12年制から、5+3+3+4の15年制へと変更された。

 一方で課題は制度そのものよりも、就学率の低さにある。日本貿易振興機構(JETRO)によると、2019年時点で初等教育は就学率約90%・中退率3%、中等教育は就学率約80%・中退率10%だった。初等・中等教育を受けられない背景には、学校や教員の不足に加え、貧困によって子どもが働かざるを得ない事情、カースト制度などの社会的要因がある。さらに、小学校にトイレがないことも就学を妨げる要因となっている。

 トヨタの合弁会社であるトヨタ・キルロスカ・モーターは、トヨタABCDプログラムを通じて小学校へのトイレ設置を進めてきた。初等・中等教育の改善は短期間で成果が出るものではなく、20年、30年といった時間をかけて効果が表れる。この点で、インドは人的資本の質の向上に取り組み始めた段階にある。国や地方自治体による教育改革の継続と、企業による取り組みの積み重ねが、今後の人材の質を左右する。

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