「欧州勢にはもう負けられない」 1.3兆円の買収で挑むデンソー、EV心臓部を自前奪還し日本勢の未来を切り拓けるか

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デンソーのローム買収提案を契機に、日本のパワー半導体業界は再編期を迎えた。国内4社の合計シェアは約16%にとどまり、欧米22%のインフィニオンに大きく水をあけられるなか、EV時代の競争力確保が急務となっている。

日の丸パワー半導体の再編と電力主権の争奪

「人とくるまのテクノロジー展2022 NAGOYA」でのデンソーのブース(画像:Merkmal編集部)
「人とくるまのテクノロジー展2022 NAGOYA」でのデンソーのブース(画像:Merkmal編集部)

 トヨタ系部品大手のデンソーが、半導体メーカーのロームに買収を提案した。この動きを契機に、電気自動車(EV)やデータセンターの電力制御を担うパワー半導体分野は激しい変化の時期を迎えた。ロームは東芝との事業統合も検討していると伝えられ、業界の勢力図は大きく塗り替わる可能性が高まっている。

 背景には、炭化ケイ素(SiC)パワー半導体を巡る市場環境の変化がある。EV需要の伸び悩みと中国勢の攻勢によって、価格競争は熾烈を極める。国内勢である三菱電機、ローム、東芝は、生き残りをかけて製品力の向上や連携を急いでいる。

 デンソーの狙いは、半導体の確保にとどまらない。車両制御と半導体開発を一体化し、テスラや比亜迪(BYD)などの競合に対抗できる体制を整えることが狙いだ。航続距離や充電性能に直結する電力管理の主導権を握ることは、今後の競争力を左右する重要な要素である。

 日本の半導体産業が構造的な変革を迫られるなか、この動きは海外からも注目を集めている。本稿では海外メディアや業界の見解を整理し、パワー半導体分野の展望を探る。

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