高速道路に「非常電話」が1kmごとに設置されている理由――スマホがあるのに、なぜ必要? ドライバーが知らない安全対策とは

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日本の高速道路には、スマホ普及率98%でも約1km間隔で非常電話が設置される。事故や災害時、固定拠点から即座に管制室へ連絡可能なこの仕組みは、年間維持費2000億円超でも安全の投資価値を示す重要なインフラだ。

高速道路の非常電話が残る理由

高速道路上に設置された非常電話(画像:写真AC)
高速道路上に設置された非常電話(画像:写真AC)

 2026年3月現在、日本の高速道路には非常電話が配置され続けている。この設備は事故や故障、災害などの緊急事態に対応するもので、スマホの普及率がほぼ100%に達した現代でも、都市間高速道路では約1km間隔、トンネル内では約200m間隔(都市内高速道路はトンネル内100m、それ以外は50m間隔)という基準が維持されている。

 インターチェンジやサービスエリア、パーキングエリア、非常駐車帯を網羅するこの仕組みは、高速移動という有料サービスにおける最低限の安全を支えるインフラの中心となっている。

 スマホだけで十分と思われがちな現代において、こうした物理的設備を維持するには合理的な理由がある。確かに利用機会は減ったが、高速道路という特殊な空間ではスマホが常に機能するとは限らない。トンネルや深い山間部には電波の届かないエリアがあり、トラブル発生時に確実な通信手段がない状態は避けるべきだ。

 利用者が通行料金を支払うクローズドな空間である以上、運営側には通信環境に左右されない連絡手段を提供する責任がある。

 非常電話は公衆回線とは別の道路管理者独自の専用通信網に接続されている。通信のIP化により、受話器を上げるだけで発信場所を即座に特定できる。最寄りの交通管制室が被災しても、他の拠点で対応できる体制も整えられている。

 こうした運用は事故による渋滞や二次被害を最小限に抑える保険として機能する。稼働率が低く維持費や設置場所の負担がかかるなかでも、安全な移動を支えるインフラがどのような価値基準で存続しているのかを考えることは意義深い。

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