高速道路に「非常電話」が1kmごとに設置されている理由――スマホがあるのに、なぜ必要? ドライバーが知らない安全対策とは

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日本の高速道路には、スマホ普及率98%でも約1km間隔で非常電話が設置される。事故や災害時、固定拠点から即座に管制室へ連絡可能なこの仕組みは、年間維持費2000億円超でも安全の投資価値を示す重要なインフラだ。

1kmごとである理由

東名。掛川IC周辺に設置された非常電話(画像:写真AC)
東名。掛川IC周辺に設置された非常電話(画像:写真AC)

 高速道路の非常電話が1kmごとに配置されている背景には、通行者の生命を守るための合理的な基準がある。この間隔により、トラブルに見舞われた利用者の移動距離は最大でも500mに抑えられる。

 時速3kmで歩けば約10分で到達できる距離であり、高速で通行する車両の路肩を人が移動できる限界を考慮して導かれた。路肩での歩行は二次被害のリスクが高いため、この間隔は事故を最小化するための重要な指標となる。

 歴史を振り返ると、1965(昭和40)年の第三京浜道路で全線に設置されたのが始まりだ。当初はパトロール業務の効率化が目的だったが、高い成果が認められ、翌1966年には名神高速道路にも導入された。

 通信の仕組みは初期の直接連結から現在の集中受付方式へと進化している。夜間でも視認性を確保するLED内照式標識やSOSピクトグラムの採用は、利用者に一定の間隔で必ず助けがあるという予見可能性を与える。この予見可能性がドライバーの不安を和らげ、交通の円滑な流れを支えている。

 NEXCO3社の年間維持費は約2000億円を超えるが、事故による損失を抑える効果は大きい。事故が発生すれば処理には多大な費用がかかる。利用回数の減少は事実だが、稼働率だけで価値を測るのは適切ではない。

 設置されていることで得られる安心感や、万が一の際の確実なバックアップとしての価値を評価すべきだ。近年の大規模災害の教訓から、こうした備えの重要性は改めて確認されている。

 高速道路で初動が数分遅れるだけで、後方の渋滞は数キロに及び、物流の遅れや燃料の浪費といった社会的損失が急拡大する。スマホのGPSは場所によって誤差が生じるが、設置場所が固定された非常電話は正確な位置情報を管制室に伝えられる。

 迅速な救援の呼び出しは社会全体の損失を最小限に抑える役割を果たす。直接利用する人は少なくても、物流の安定を通じて多くの人がその恩恵を受けている。

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