市場拡大と主導メーカー――スズキが握る4割シェア【短期連載】インドは自動車産業にとって桃源郷となり得るのか(2)

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世界第3位の自動車市場に浮上したインド。2025年は551万台、伸び率5.5%で主要国中トップの成長を示した。4割を握るマルチ・スズキを軸に、日韓勢優位の構図は揺るがないが、高関税見直しやFTAを追い風に欧州勢も攻勢を強める。生産拠点としても存在感を高めるインドの実像に迫る。

世界が注視する巨大市場

2025年12月21日、インド・ベンガルールで開催された『ベンガルール・コミコン2025』にて展示された、マルチ・スズキのモデル『ビクトリス(Victoris)』(画像:AFP=時事)
2025年12月21日、インド・ベンガルールで開催された『ベンガルール・コミコン2025』にて展示された、マルチ・スズキのモデル『ビクトリス(Victoris)』(画像:AFP=時事)

 今、世界中がインドに注目している。日本ではスズキのインド工場がよく話題に上るが、シュコダなどの欧州メーカーも業績を伸ばしている。BMWのIT拠点のように、IT人材の供給源としても期待され、欧州連合(EU)やロシアで不足する人材の確保先としての役割も大きい。こうしてインドの存在感は増している。しかし、人口世界一の国の内部事情はまだあまり知られていない。果たしてインドは自動車産業にとって本当に魅力ある市場なのか。本短期連載「インドは自動車産業にとって桃源郷となり得るのか」では、自動車産業を軸に現地の歴史や現状を整理し、市場規模や成長の余地を確認しながら、直面する課題や有効な戦略を示していく。

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 第2回では、インドの足元の状況を整理し、自動車の消費市場および生産拠点としてのインドを概観したうえで、今後の展望を考える。

 2025年(暦年)の新車販売台数は、上位5か国・地域でいずれも前年を上回った。中国は2374万台(前年比3.8%増)、米国は1636万台(同1.9%増)、EUは1082万台(同1.8%増)、インドは551万台(同5.5%増)、日本は456万台(同3.3%増)である。

 2025年は世界全体で新車販売が増加した年となった。販売規模では中国が突出しているが、伸び率ではインドが最も高い。2020年以降、インドの自動車販売は拡大を続けている。EUを除き、国別で比較すると、インドは世界第3位の自動車市場に位置する。

 人口構成の若さや今後の工業化の進展を踏まえれば、インドの存在感は一段と高まる公算が大きい。2030年に販売台数600万台に達するとの見通しも、十分に現実味を帯びている。

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