市場拡大と主導メーカー――スズキが握る4割シェア【短期連載】インドは自動車産業にとって桃源郷となり得るのか(2)
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マルチ・スズキの圧倒的首位

インド市場ではスズキの存在感が際立っている。「インドといえばスズキ」と語られるほどであり、実際に高い市場占有率を維持している。2024年度のインド国内メーカー別販売実績(日本貿易振興機構)をみると、その構図は明確だ。
マルチ・スズキは176万台を販売し、シェアは40.9%に達した。2位の現代自動車(ヒョンデ)は59.8万台で13.9%、タタ・モーターズは56.9万台で13.2%、マヒンドラ&マヒンドラは55.1万台で12.8%と続く。上位2位以下はいずれもシェアが1割強にとどまり、首位との差は大きい。トヨタ・キルロスカは30.9万台で7.2%、キアは25.5万台で5.9%、ホンダは6.5万台で1.5%である。
販売台数、シェアともにマルチ・スズキが他社を大きく引き離しており、インド市場における優位は揺らいでいない。
マルチ・スズキはインド市場で4割のシェアを握る。2位のヒョンデとは販売規模に大きな差がある。2024年度のスズキの四輪車世界販売台数は324万台で、そのうち55%をインドが占める。スズキにとっても、インドは収益の柱である。
1983年の参入以来、積み重ねてきた事業基盤と戦略が現在の地位を支えている。同社はインドを主要な生産拠点と位置づけ、2030年度の生産台数を2022年度の2倍となる400万台へ引き上げる目標を掲げる。
ヒョンデの進出は1998年で、スズキほど早くはないが、すでに四半世紀超の実績がある。キアを含むヒョンデグループとしてはシェア2位を維持する。ヒョンデは米ゼネラル・モーターズの工場を取得し、3工場体制で年産150万台を目指す。
トヨタは1997年にトヨタ・キルロスカを設立し、南部カルナータカ州に2工場を構える。今後は西部マハーラーシュトラ州でも生産体制を整える計画だ。
欧州勢ではシュコダがVWグループのインド戦略を担う。日本勢や韓国勢に比べ存在感は大きくないが、2025年の販売は7万台と前年から96.1%増加した。今後の取り組み次第で拡大の余地はある。ルノーはルノー日産オートモーティブインディアを完全子会社化し、インドでの新車開発を進める方針だ。
BMWは2025年に過去最高となる1.8万台を販売し、前年比14%増となった。中心は富裕層向けだが、2026年には10車種の新型車を投入し、現地生産も拡大する計画である。ステランティスは2025年にインド事業の体制を見直し、リープモーター、シトロエン、ジープの各ブランドを強化する。
欧州メーカーもインド市場に注力する姿勢を示すが、足元のシェアは日本勢が50%、韓国勢が20%を占め、残る30%を地場勢と欧米勢が争う構図だ。2000年以前から事業を展開してきた日本勢と韓国勢が優位に立っている。2030年に市場規模が600万台を超えるとの見通しのなか、欧州勢がどこまで販売を伸ばせるかが焦点となる。