「子どもだけでタクシー」は贅沢なのか――母親の就業率8割超で家庭内送迎は崩壊? 所有を捨てる新たな暮らし方とは
少子化と共働きの増加で、子育て世帯の16.6%しか児童を抱えない日本。母親の就業率80.9%超が示すように、家庭だけでは子どもの送迎負担が限界に達し、都市型タクシーや住宅連動サービスが新たな社会インフラとして注目されている。
少子化と共働き世帯

少子高齢化が進む日本では、児童(18歳未満の子ども)がいる世帯は年々減少している。2025年7月、厚生労働省が公表した2024年の国民生活基礎調査によれば、全国の世帯総数は5482万5000世帯に上るのに対し、児童のいる世帯は907万4000世帯で全体の16.6%にとどまった。
一方で、児童のいる世帯における母親の就業状況は、2022年の75.7%から2024年には80.9%へと上昇している。総務省の労働力調査(2024年平均)でも、共働き世帯は1300万世帯となり、前年から22万世帯増加した。家族構成を見ると、「夫婦と子ども」が796万世帯で全体の6割を占め、「夫婦、子どもと親」を加えると、子育て世帯の大半が共働きであることがわかる。
従来、親、とりわけ母親による無償の労働力が、自家用車を動かすことで子どもの移動を支えてきた。しかし、母親の就業率が8割を超えた現状は、
「家庭内だけでの移動の自給自足」
が難しくなったことを示している。小学生を中心に放課後の学童や習い事が多様化するなか、送迎の負担は親の時間や労働生産性に大きな影響を与える阻害要因となっている。
こうした状況を受け、東京建物(東京都中央区)は2025年10月、分譲マンション「Brillia町屋」において、TOPPAN(文京区)やアイホン(愛知県名古屋市)と連携した建物連動型の輸送システムを導入することを決めた。移動という役割が、個人の所有物としての車から、不動産価値を支える付加価値へと変化する兆しともいえる。
このように自治体やタクシー業界が手掛けるサービスが広がるなか、移動の負担を外部に委ねることで得られる具体的な利点についても注目が集まる。