「子どもだけでタクシー」は贅沢なのか――母親の就業率8割超で家庭内送迎は崩壊? 所有を捨てる新たな暮らし方とは
少子化と共働きの増加で、子育て世帯の16.6%しか児童を抱えない日本。母親の就業率80.9%超が示すように、家庭だけでは子どもの送迎負担が限界に達し、都市型タクシーや住宅連動サービスが新たな社会インフラとして注目されている。
都市型移動支援の効果

子ども向けタクシー送迎サービスは、習い事や放課後の負担を軽減する手段として注目される。しかし、こうした移動の仕組みは、単なる利便性向上にとどまらない。その一例が、保育園不足という課題に対応する取り組みだ。
2026年1月、さくらさくみらい(千代田区)は、4月から東京都中央区の晴海と月島を循環する「親子で乗れる送迎バス」の運行開始を発表した。人口増加で入園希望が高まる晴海と、比較的空きのある月島をつなぐことで、通園の選択肢を広げ、施設不足を移動によって補う都市型の新しい支援策である。
新たに施設を建設するのではなく、既存の施設へ効率よく運ぶ方法は、限られた土地を有効に使う都市運営の判断に沿うものだ。公共交通が整った地域でも、鉄道駅から離れた場所では移動の不便さが子育て世帯の負担となる。親子で乗れる送迎バスは、こうした空白を埋める役割を担っている。実際、2025年2月に大東建託が発表した「子育て世帯の街の住みここちランキング」では、東京都中央区が1位となった。アクセスの良さが評価されており、移動手段の充実が生活の質に直結することが浮き彫りになった。
都市の価値は、もはや駅からの距離だけで測れなくなっている。バスやタクシーなど多層的な移動手段が重なり、必要なときに最適な方法を選べる環境こそ、都市の競争力を左右する要素となる。自家用車という維持費のかかる資産を持たずとも、移動の自由が確保されることで、親の負担は軽減され、子どもの安全も守られる。
横浜市の実証実験では、有償でも継続したい、生活が変わったといった声が寄せられた。こうした利便性の高いサービスは、移動を個人の責任から社会の共通機能へと変えながら、今後さらに広がっていくだろう。