「子どもだけでタクシー」は贅沢なのか――母親の就業率8割超で家庭内送迎は崩壊? 所有を捨てる新たな暮らし方とは
サービスの仕組みと運用

東京建物の子ども向けタクシー送迎サービスは、スマートフォンで事前に予約した情報をもとに、自宅と目的地を結ぶ最適ルートで配車される。予約を通じて、子どもだけでの移動時の安全性が確保される。乗車距離に応じて費用を分担する相乗りにも対応しており、家庭で車両を占有する場合に比べ、手軽に利用できる点が特徴だ。
このシステムのもうひとつの注目点は、アイホンが提供する集合住宅用インターホンとの連動である。スマートフォンを持たない子どもでも、室内から車両の到着を確認できる。外で待機する時間がなくなることは、安全性を高めるだけでなく、住宅設備と移動手段を密接に結びつける試みでもある。移動の始まりを玄関先ではなく居室内にまで広げた点は、生活の利便性に直結する工夫といえる。こうしたサービスは、
・日本交通(千代田区)の「キッズタクシー」
・大宮自動車(埼玉県さいたま市)の「子育てタクシー」
・上信ハイヤー(群馬県高崎市)の「育児支援タクシー」
など、各地で展開されている。名称は異なるが、子どもだけの乗車を専門の教育を受けた担当者が行う点で共通する。利用者が最も重視する安全面については、各社が認定した専任担当者が対応することで信頼を得ている。物理的な移動手段としての車両に、見守りという付加価値を重ねて提供している点が特徴だ。
料金体系も多様化している。日本交通では最初の1時間が7360円(運賃5360円、追加費用2000円)で、TOPPANの「こどもび」は月会費1000円に加え、メーター運賃に300円を上乗せする仕組みだ。一見高額に思えるが、相乗りによる費用の分散や、自治体の利用券を活用すれば、家計への負担を抑えて継続的に利用できる。
移動を個人の所有物から共有のインフラへと移行させる過程で、こうした費用体系の柔軟さはサービスの普及を後押しする要素となっている。