「中国勢にディーゼルはない」ステランティス、EV敗戦から狙う“残存者利益”の勝算
EV需要減速で4兆円減損、欧州で販売減に直面するステランティスが打った「ディーゼル復活」の一手。EV競争を避け、既存資産と中国勢不在の市場を活かして利益を確保する戦略の行方を探る。
ディーゼル車の再評価

日本の乗用車新車販売において、ディーゼル車が占める割合は
「約5%」
と欧州に比べて低い。しかし、経済実態に目を向けると、この方式は依然として有力な候補だ。軽油を用いるエンジンはガソリン車より燃費が良く燃料単価も低いため、運用コストを抑えられる。高いトルク性能は重い荷物の運搬や高速走行に適しており、長距離を走るユーザーにとっての利便性は極めて高い。
一方で、排出ガスの浄化に必要なシステムを搭載するため、車両価格はガソリン車より高くなる傾向がある。エンジンの圧縮比を高めるための高い強度もコストを押し上げる。維持管理の面では、オイル交換の目安が5000km程度と、ガソリン車の7500kmから1万5000kmに比べて頻繁に行う必要がある。さらに、排出ガスを綺麗に保つための部品の定期的な点検や修理費も発生する。寒冷地では燃料の凍結を防ぐための配慮も欠かせない。
それでもディーゼル車が選ばれる理由は、
「中古車市場での価値が安定している点」
にある。EVの価値が急速に下落するなかで、資産価値の目減りが少ないことは大きな利点だ。初期費用や管理費がかさんでも、売却時の価格まで含めた総費用で考えれば、ディーゼル車は経済的に優れた結果をもたらす。こうした実用面での裏付けが、市場から完全に消えない背景となっている。