「給油できる店がない」 ガソリンスタンド「ピーク比55%減」の現実、EV充電器だけでは支えきれない地方インフラの危機

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1994年度に約6万か所あったガソリンスタンドは、2025年3月末に2万7009か所まで減少。全国1718市町村の22.1%で3か所以下となるなか、月22万Lを担う拠点と充電月43回の現実が、地域経済の土台の揺らぎを映す。

SS2万7009か所、381市町村が3か所以下

廃業したガソリンスタンドのイメージ(画像:写真AC)
廃業したガソリンスタンドのイメージ(画像:写真AC)

 ガソリンスタンド(SS)が30年以上、減り続けている。1994(平成6)年度の約6万421か所を頂点に、2025年3月末には2万7009か所(55%減)。この数字は、燃料を売るという商売が根本から立ち行かなくなっている現実を映し出している。

 これは、どこか遠い場所で起きている緩やかな衰退ではない。ある一線を越えた瞬間、その街の経済を止めてしまう怖さを秘めている。拠点が消えることは、残った店が潤うことを意味しない。むしろ、住民が「出かけること」そのものを諦め、地域全体の需要がまるごと消えてしまう悪循環を招くからだ。

 2025年3月時点で、スタンドがひとつもない市町村は11か所。ひとつしかない場所は97か所、3か所以下という地域は381か所に及ぶ。全国にある1718市町村の2割強、22.1%で拠点が3か所を下回っている。暮らしを支える仕組みは、網の目のように広がってこそ、万が一の事態に持ちこたえる。しかし、今の状態は網ではなく、つながりの危うい「点」にすぎない。どこか一か所が閉まったり、災害に見舞われたりすれば、その地域の供給はたちまち止まってしまう。

 たとえ今この瞬間に給油が必要なくても、「いつでも車で移動できる」という状態を守ること自体に価値がある。これをオプション価値と呼ぶが、今の燃料価格にはこの価値は乗っていない。商売としての売り買いだけに任せている今のままでは、地域が生き残るために必要なコストを、価格に正しく反映させることは難しい。

 皮肉なのは、車がなければ暮らせない地方ほど、拠点が消えていることだ。2008(平成20)年度から2023年度にかけて、路線バスは約2万3193km、鉄道は約632.9kmの路線が姿を消した。地域鉄道の83.3%、路線バスの73.7%が赤字に苦しんでおり、交通手段が細っていく流れは止まらない。

 大きな都市での車の利用率は平日に32%程度だが、地方では61%に跳ね上がり、休日には76%にまで達する。車が命綱であるはずの場所から、給油拠点が消えていく。この矛盾を放っておけば、動く手段を失った住民が溢れかえり、街そのものが立ち行かなくなる恐れがある。

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