「給油できる店がない」 ガソリンスタンド「ピーク比55%減」の現実、EV充電器だけでは支えきれない地方インフラの危機
1994年度に約6万か所あったガソリンスタンドは、2025年3月末に2万7009か所まで減少。全国1718市町村の22.1%で3か所以下となるなか、月22万Lを担う拠点と充電月43回の現実が、地域経済の土台の揺らぎを映す。
エネルギー供給の公共財化

スタンドが減り続けている事態は、ひとつの業界が衰退する以上の重みを持っている。暮らしの土台である移動や物流、さらには万が一の備えが、足元から細っていく姿そのものだ。ただ充電器を置けば済むわけではない。これまでに見てきた数字が、その難しさをはっきりとはじき出している。
今、向き合うべきは、ある場所を別の場所で埋めるようなその場しのぎではない。地域のエネルギーを守る役割を、街全体で分担していくという考え方への転換だ。道の駅や郵便局、コンビニといった、すでに人々が集まる場所に燃料や電気を配る役割を持たせ、複数の仕事を一か所にまとめる。そうして拠点の維持にかかる重い費用を分かち合うことが、現実的な道のりとなるだろう。
そこに人工知能(AI)を使った需要の予測や、遠くから見守る仕組み、蓄電池などを組み合わせれば、この先も使い続けられる新しい形の拠点が見えてくるはずだ。
ただし、こうした取り組みを民間の努力だけに頼る段階は、とうに過ぎている。これまでは「使った分だけ払う」という商売の仕組みでインフラを支えてきた。だが、月にわずか43回という利用の少なさを見れば、その前提は成り立たない。
これからは、たとえ使う人が少なくても、「そこに給油や充電ができる場所があり、いつでも使える」という状態そのものに、公的な対価を支払う仕組みを考えなければならない。エネルギーの供給を社会全体の持ち物として位置づけを改め、法制度を整え、必要な予算を割り振る。国としての姿勢が今、厳しく問われている。
エネルギー難民という言葉が現実のものとして語られ始めた今、仕組み作りを急がなければ、取り返しのつかない格差が生まれる。立ち止まっている時間は、もうどこにも残されていない。