「給油できる店がない」 ガソリンスタンド「ピーク比55%減」の現実、EV充電器だけでは支えきれない地方インフラの危機

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1994年度に約6万か所あったガソリンスタンドは、2025年3月末に2万7009か所まで減少。全国1718市町村の22.1%で3か所以下となるなか、月22万Lを担う拠点と充電月43回の現実が、地域経済の土台の揺らぎを映す。

採算ライン150回に届かぬ月43回

EV急速充電器のイメージ(画像:写真AC)
EV急速充電器のイメージ(画像:写真AC)

 数字を突き合わせていくと、現実の厳しさが浮かび上がってくる。2024年のガソリン販売量は約4012万kL、軽油は約3170万kL。合わせて7182万kLにのぼる。国内2万7009か所のスタンドで割れば、1か所あたり月に約22万1700Lを配っていることになる。これが、今の拠点が地域で担っている役割の重みだ。

 一方で、スタンドに置かれた「EV急速充電器」の利用は、ひと月あたり平均してわずか43回にすぎない。1回30kWhとして計算すると、月の合計は1290kWh。ガソリンに換算すれば、たった143L分だ。22万Lと143L。その差は

「1550倍」

という、途方もない開きがある。この開きは、燃料が持つエネルギーの「濃さ」という物理的な違いが、そのまま商売の壁になっていることを映している。これほど規模が違えば、利用が伸びないのも無理はない。一瞬で終わる給油と、どうしても時間がかかる充電。この埋めがたい差が、数字にそのまま表れている。

 充電器が商売として成り立つには、一般道で月150回、高速道路では200回ほどの利用が欠かせない。だが現実は厳しく、スタンド併設で43回、道の駅で52回、高速道路でも117回。一般道では必要な回数の3分の1ほど、高速道路でも6割に届かないのが実情だ。

 こうした赤字を埋めているのが、税金による補助だ。2024年度の仕組みでは、置くためにかかる費用の最大3分の2が補助され、1基で数千万円という公金が注ぎ込まれる。例えば4500万円の充電器なら、3000万円が公費で賄われる計算だ。今の充電インフラは、自立しているというより、公的な支えによってかろうじて立っている。

 今の支援は、置くための費用を出すことに偏っており、使い始めた後の管理や責任のあり方がはっきりしていない。そのため、役所と業者の間で需要の見込みに食い違いが起きやすく、使われない場所への投資を招きがちだ。

 そして、この支えも2026年2月には終わりを迎えるかもしれない。補助がなくなれば、立ち行かない場所が続出するだろう。数を増やすことと、それを使い続けることは、まったく別の話なのだ。

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