AIが「自動車」を支配する日――ネット接続不要で動く次世代自動車、その衝撃の正体とは
NVIDIAが提唱する「フィジカルAI」が自動運転を変える。VLAモデル搭載で推論ミス37%減、車内で完結する知能により、2030年には世界で1800万台が自律走行車に。安全と投資効率の両立が産業の鍵となる。
新たな評価基準と開発体制
フィジカルAIという概念に対し、社会全体の法律や指針の整備が十分には追いついていない。世界中でAIを規制する動きが進むなか、日本でも2025年6月4日にAI推進法が公布され、同年12月23日にはAI基本計画が閣議決定された。
この計画は、世界で最もAIの開発や利活用がしやすい国を目指しており、国全体でフィジカルAIの探求へ本格的に取り組む姿勢を打ち出している。推進だけでなく、自動運転の法規制も整い、事故が起きた際の責任の所在をはっきりさせることが求められるだろう。諸外国の多くでこうした法整備が進められている。
Alpamayoは開発段階から推論の過程を説明できる機能を備えているため、将来は判断に至る道筋の説明責任や、膨大な場面での走行試験の証明を担うことが期待される。判断が正しいかという結果のみならず、その結論に至る推論の正当性を評価するルールを整えることで、規制当局がシステムを理解し、信頼できる土台を作りやすくなる。
自動車メーカーの開発のあり方も大きく変わっていく。自律走行車の実現に向けて、半導体メーカーが主導してシステムを組み立てることが一般的になり、合弁会社の設立や提携、買収がより活発化するはずだ。半導体の構成と車両の制御システムを一体のものとして捉え、ハードウェアとソフトウェアを分けずに同時に作り込む体制の確立が生き残りの条件となる。組織の壁を越えた垂直統合型の開発体制への移行が求められている。
今後の車選びにおいて、消費者はネット接続の有無を問わず、車が自力でどこまで安全に動けるかを新たな重要指標に据えるはずだ。常に外部と通信を続ける利便性よりも、自律したプロフェッショナルな機械としての安全性を評価する方向へ、市場の意識は移っていくのである。