山陽道「3000人襲った理不尽な停滞」 なぜ30台の不備を“走行中”に暴けるのか? 1台ずつ止めていた「あの検問」を過去にする驚きのシステムとは
冬期の高速道路では、装備不足の車両が渋滞や立ち往生を誘発するリスクが依然として顕在化している。自動判別システムの導入で約6割の目視チェックを削減、効率化と安全確保を両立させる新たな管理手法が広がりつつある。
システムの仕組みと精度

冬用タイヤ自動判別システムは、チェックエリアの数十m手前に設置され、時速約30kmで通過する車両のタイヤのトレッド面を撮影する形で運用されている。撮影した画像はAIが解析し、スタッドレスタイヤ特有の溝を認識して判別を完了する。判別の結果、ノーマルタイヤと判断された車両だけが誘導員によってチェックポイントへ案内される仕組みだ。
開発過程では、実際に使われているおよそ1万5000本のタイヤをAIに学習させており、気象や路面状況、時間帯などの変動が判別精度に影響しないよう、多様な条件下で撮影した画像を網羅している。また信頼度が基準に満たない場合には安全側に倒し、ノーマルタイヤと判断するよう調整されており、リスク回避の仕組みも組み込まれている。
このシステムを活用して、国土交通省関東地方整備局は2025年12月、栃木県那須町高久甲で冬用タイヤ装着率の調査を実施した。調査台数は887台で、装着率は
・全体:69%
・大型車:59%
・普通乗用車:73%
だった。早期調査であることを考慮しても、冬期の交通網において依然として一定数の車両が停滞を誘発する潜在的リスクを抱えていることが示された。
自動判別システムの導入は規制時のボトルネック解消に有効な手段ではある。しかし交通の流れを支える役割にとどまるのも事実だ。冬道の安全性やネットワーク全体の信頼性を最終的に左右するのは、結局のところ利用者の装備水準である。インフラ側の技術が進化しても、利用者の備えに対する意識が後退すれば、社会全体の移動効率は損なわれる。
高速道路を利用する際には予期せぬ積雪に備え、早めに冬用タイヤを装着するという、利用者側の責任と行動が円滑な交通の前提になるのである。