山陽道「3000人襲った理不尽な停滞」 なぜ30台の不備を“走行中”に暴けるのか? 1台ずつ止めていた「あの検問」を過去にする驚きのシステムとは

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冬期の高速道路では、装備不足の車両が渋滞や立ち往生を誘発するリスクが依然として顕在化している。自動判別システムの導入で約6割の目視チェックを削減、効率化と安全確保を両立させる新たな管理手法が広がりつつある。

自動判別の導入背景

冬用タイヤ自動判別システム設置実績(画像:西日本高速道路エンジニアリング四国)
冬用タイヤ自動判別システム設置実績(画像:西日本高速道路エンジニアリング四国)

 西日本高速道路エンジニアリング四国(香川県高松市)によれば、冬用タイヤ規制は積雪による通行止めを避けつつ、スタッドレスタイヤ装着車の通行を確保し、物流の停滞を防ぐことを目的としている。そのため道路を走行する車両がノーマルタイヤかスタッドレスタイヤかを確認するプロセスが必要となる。

 かつては誘導員が車両を止め、確認員が目視でタイヤを確認する手法が一般的だった。しかし1台ずつ停止させる方式では後続車の滞留を招き、物流の定時性を阻害することがあった。規制対象となる地域ではマイナス5度からマイナス10度に達することも珍しくなく、屋外で長時間作業を続ける人員には大きな負担がかかる。加えて労働力の確保自体が難しい状況もあった。

 少子高齢化で労働人口が減少するなか、人的負荷の大きい保安業務を人海戦術で維持し続けることは、インフラ管理の制約となっていた。『AIを用いた冬用タイヤ自動判別システムの開発』(西日本高道路エンジニアリング四国、愛媛大学、東京大学)という論文でも、多くの人員が必要な体制が負担を増大させていることや、交通量が多い時間帯に発生する渋滞を解消するためには省力化と作業の高速化が求められていることが指摘されている。

 こうした状況を背景に、2016(平成28)年度から西日本高速道路エンジニアリング四国は「冬用タイヤ自動判別システム」の構築を進めた。判別作業の自動化によって規制業務は効率化され、現場に関わる人々の負担も軽減された。導入は四国エリアにとどまらず、京都府の舞鶴若狭自動車道 福知山インターチェンジ、広島県の中国自動車道安佐サービスエリア上り、大分県の大分自動車道狭間BS、そして上越地方や中部地方にも広がっている。

 2024年時点では設置台数25台(うちレンタル18台)に達しており、限られた人的資源をより高度な判断や復旧作業に優先的に振り向けるための合理的な手法として定着しつつある。

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