日本「EVで韓国に完敗」――市場は3倍でも販売4倍差、全方位の分散と「集中投資」の速度差とは

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新車市場は日本の3分の1規模。それでも韓国のEV販売は日本の約4倍、25年は22万台と50%増に転じた。数字が示す差の正体を追う。

不安への対処

メルセデス・ベンツの充電ステーション(画像:メルセデスベンツコリア)
メルセデス・ベンツの充電ステーション(画像:メルセデスベンツコリア)

 韓国のEV市場も、順風満帆というわけではなかった。2024年8月、仁川の集合住宅の地下駐車場でメルセデス・ベンツ車が出火し、約900台が損傷、23人が負傷する事故が起きた。消火に8時間を要したという事実は重く、映像とともに不安が広がった。購入を控える動きが出ても不思議ではない局面だった。

 実際、需要はいったん鈍った。ただ、その状態は長く続かなかった。政府は安全基準の内容を明らかにし、バッテリーに関する情報開示を早い段階で義務づけた。メーカー各社も足並みをそろえ、対応策を示した。説明が後手に回らなかったことが効いたのだろう。不信感は思いのほか早く収まっていった。

 結果として、この一件は市場の質を見直す契機にもなった。安全面で十分な備えを持たない企業は立場が弱まり、情報公開に積極的な企業が選ばれる。そうした選別が進み、取引の中身が見えやすくなった。電動化の流れが止まることはなく、課題への対処の速さがそのまま信頼の積み上げにつながっている。

 その土台には、制度面での後押しがある。2023年、租税特例制限法施行規則が改正され、EV生産は「国家戦略技術」に位置づけられた。大企業や中堅企業に対する税額控除率は15%に引き上げられている。半導体と並ぶ重要分野として扱うという意思表示であり、民間投資が踏み出しやすい環境が整えられた。

 補助金の考え方も変わってきた。1台あたりの支給額は段階的に縮小し、メーカーにコスト低減を求める内容へ移っている。2024年には購入補助金の総額を初めて減らし、その分を充電網の整備に振り向けた。AC充電器(50kW未満)には1台あたり50~500万ウォン、急速充電器(50kW以上)には500~7500万ウォンを支給する制度を動かし、使う側の利便性を底上げしている。

 事故への対処と、こうした政策の積み重ねが同時に進んだことで、市場は揺れながらも前に進んだ。安全性への疑念を放置せず、制度と投資で現実的な手当てを打つ。その姿勢が、韓国のEV普及を支えている。

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