「左派は自転車がお好き」利用率76%の衝撃――通勤か趣味か、利用格差が示す“移動の政治性” スイス調査で考える

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スイス1502人調査で、左派支持層の自転車利用率は76%、右派は趣味偏重が顕著に。移動手段の選択が政治と消費を分け、ブランド戦略や市場構造まで左右し始めた。

無自覚な政治性

ロンドン(画像:Pexels)
ロンドン(画像:Pexels)

 仮に当人にリベラル傾向があったとしても、趣味であれ交通手段であれ、自転車に乗っている者の大半は、自身の行動が孕む政治性を意識せずにペダルを漕いでいる。

 英国の高級紙「ザ・ガーディアン」のコラムニスト、ゾーイ・ウィリアムズ氏は、サイクリストが一部から強い反感を買っている一方で、当人たちにはその自覚もなければ、特定の党派性を持って連帯しようとする意志もないことを指摘している。多くのサイクリストは既存の制約から解き放たれた感覚を享受しており、その実態はリバタリアン(国家や規制による介入を極力嫌い、個人の自由と自己決定を最優先する思想・立場)に近い。

 ただ、彼らが享受するこの感覚は、

「他者の権利や利益を削ることで成立している」

側面がある。英ロンドンでは、大気汚染の改善と交通渋滞の削減を目的として、厳格な自動車規制である「ULEZ(超低排出ゾーン)」と「LTN(低交通量地域)」が実施されている。急速に広げられたこれらの施策により、地域の生活や物流、商圏の維持に支障をきたす事例も報告されており、激しい議論が続いている。

 こうした状況下で、渋滞を横目に路上の空間を効率的に使って駆け抜けるサイクリストの姿は、自動車に頼らざるを得ない層から見れば、自分たちが支払っているコストを回避し、都市の利便性を独占する特権的な存在と映る。路上という有限の資産を奪い合うなかでは、本人の意図に関わらず、自転車で走ること自体が他者の経済活動に対する無言の圧迫として働いてしまう。

 もはや、自転車に乗るという行為を、社会的な摩擦から切り離された純粋なレジャーとして成立させることは難しくなっているのだ。

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