「左派は自転車がお好き」利用率76%の衝撃――通勤か趣味か、利用格差が示す“移動の政治性” スイス調査で考える

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スイス1502人調査で、左派支持層の自転車利用率は76%、右派は趣味偏重が顕著に。移動手段の選択が政治と消費を分け、ブランド戦略や市場構造まで左右し始めた。

左派支持層の自転車利用率の高さ

2003年に発売された文庫本、疋田智『自転車ツーキニスト』。1999年『自転車通勤で行こう』に加筆訂正したもの(画像:光文社)
2003年に発売された文庫本、疋田智『自転車ツーキニスト』。1999年『自転車通勤で行こう』に加筆訂正したもの(画像:光文社)

 実際に自転車乗りはリベラルなのだろうか。スイス・ローザンヌ大学の研究チームが2025年2月に「Findings」で発表した研究は、スイスでの代表的な調査に基づき、政治的価値観が自転車利用の頻度やその背景に与える影響を検証している。

 自転車インフラの整備という交通政策で自転車利用は政治的な課題になり得るが、自転車に乗ることそのものが政治性を帯びているのかという問いは重要だ。つまり政治的スタンスが、移動手段の選択やその回数に影響を及ぼしているのかという点である。

 2018年、スイス国民の74%が自転車利用促進を憲法に盛り込むことに賛成票を投じた。この投票後、連邦首相府は18歳以上のスイス国民から無作為に抽出した1502人を対象に自転車利用に関する調査を実施し、研究チームはこのデータを詳しく分析した。

 その結果、利用頻度に関わらず自転車に触れる率が最も高いのは左派の緑の党支持者(76%)で、次いで中道の中央党(CVP)支持者(73%)だった。左派の社会民主党(SP)支持者は65%、右派の自由民主党(FDP)支持者は67%、右派のスイス国民党(SVP)支持者は63%を記録し、最も低いのは無党派層の33.5%である。

 これらの数字は、自転車というモビリティが公共空間での資源配分の優先順位を決める政治的意志の表れであることを示している。リベラルな勢力が自転車を支持するのは、それが

「環境負荷の低い移動を実現するための公共的な解決策」

であり、自動車に割り当てられてきた道路という公的な資本を、人を中心とした用途へと強制的に振り向ける正当な理由になるからだ。この傾向は、自転車がライフスタイルの表明を超えて、社会の構造をどの方向に進めるかという意志を具体化する存在であることを裏付けている。

 自転車乗りがリベラルである傾向は、移動の自由をどんな社会基盤の上で享受するかという価値判断の結果であるといえるのだ。

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