日本にカレーが広まったのは「スエズ運河」のおかげだった? 18世紀の“不便”が生んだ国民食の皮肉

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インドでカレーが生まれ、それが英国に伝わった背景には、19世紀以前の海上輸送力の不備があった。そして19世紀後半の海上輸送力の増大が、英国から日本へのカレー伝来をもたらした。

日本人コックを雇っていた英国人移住者たち

『西洋料理通』に登場する英国人家庭の日本人コック(画像:近代食文化研究会)
『西洋料理通』に登場する英国人家庭の日本人コック(画像:近代食文化研究会)

 現存する日本最古の西洋料理書『西洋料理通』は、横浜の英国人家庭において雇われた、日本人コック向けの英国料理マニュアルを出版したものだ。

『西洋料理通』には、英国人家庭で料理するコックの挿絵が五つ掲載されているが、登場するコックは五人ともちょんまげかざんぎり頭、つまり日本人男性だ。

 当時の英国の、ある程度裕福な家庭では、主婦が料理するのではなく、コックを雇って料理を作らせることが一般的であった。

 この慣習が日本にも持ち込まれた。日本に移住した英国人は、日本人コックを雇いカレーなどの英国料理を作らせていたのだ。

 横浜在住の英国人は、明治3年時点で513人。お雇い外国人としての英国人は、ピークの1874(明治7)年時点で約400人。1000人近い英国人の家庭において、カレーを調理することができる日本人コックが、次々と育成されていたのだ。

 この日本人コックたちが日本人向けの西洋料理店を開いたり、西洋料理店に転職することで、日本にカレーが広まっていったのである。

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