日本にカレーが広まったのは「スエズ運河」のおかげだった? 18世紀の“不便”が生んだ国民食の皮肉
インドでカレーが生まれ、それが英国に伝わった背景には、19世紀以前の海上輸送力の不備があった。そして19世紀後半の海上輸送力の増大が、英国から日本へのカレー伝来をもたらした。
英国料理を食べ始めたインド移住英国人たち

19世紀後半になると、インド在住の英国人たちは英国料理を作るようになる。海上輸送の進歩により、英国料理に必要な食材や調味料が安価に輸入できるようになったからだ。
1869年、スエズ運河が開通。インド行きの航路は、喜望峰回りから、地中海から直接紅海に抜けるルートに変わり、距離が大幅に短縮された。同時期に蒸気船が普及、英国からインドへは、四週間以内の航海で確実にたどり着くようになった。
また、蒸気船の時代になることで、帆船では不可能だった船の大型化が可能になり、輸送力が増大し、輸送コストも低下した。
こうしてバターやハムやベーコンの缶詰、各種調味料などの英国料理に必要な食材が安価に輸入されるようになり、インドにおいて気軽に英国料理が楽しめるようになったのである。
英国人の大量移住開始が18世紀ではなく、スエズ運河開通後であったならば、アングロインディアンカレーが生まれることはなく、英国にカレーが伝わることもなかったであろう。