山陽道「3000台とんだ大迷惑」 たった30台のせいで消えた「16時間の日常」――個人の“大丈夫”とインフラが噛み合わなかった現状を考える
制度による通行管理

個人の判断に頼るだけでは限界がある。高速道路の積雪時には、事前に明確なルールを設ける必要があるだろう。たとえば、積雪予報の2~3時間前に通行や流入を制限する仕組みだ。利用者も事業者もルールを理解していれば、それに沿った対応が可能になる。
積雪時にノーマルタイヤで走行し立ち往生した場合に、ペナルティを課すことも検討できる。各都道府県の道路交通法施行細則や道路交通規則では、積雪や凍結時のノーマルタイヤ走行を禁止しており、違反すれば普通車で6000円の罰金となる。ただ、世間の認知はまだ十分ではない。今後はドライバーやトラック事業者への周知が不可欠である。
首都高の山手トンネルで発生した立ち往生は、ノーマルタイヤのトラックが原因だった。そのためトラック事業者に対して冬用タイヤの装着や十分な溝の確保を呼びかけている。積雪時にスタックした場合のペナルティ導入も、検討の余地があるだろう。
車両自体の技術進化も見逃せない。ナビと連動した各種システムを積雪時の走行可否判断に活用することも可能だ。あるいは、道路上に利用者が判断できる仕組みを設置し、情報を増やすことも重要である。各所が責任を持つのではなく、
「雪道は行けない」
という前提で行動できる環境づくりが求められる。
AI技術の進化により、気象・交通・車両情報を組み合わせ、個人の判断ではなくデジタルで通行可否を判断することも現実味を帯びている。高速道路は現状、自己責任の要素が強いが、将来的には管理が行き届いた公共交通機関に近い性格を持つ可能性もある。自由に走れる魅力は薄れるかもしれないが、限られたルールの中で楽しみ方を見つけるのも利用者の役割である。
なにより、個人判断の負担から解放されることはストレスの軽減につながる。余裕を持って状況に対応できれば、ドライブはより安全で、より楽しい体験になるだろう。