山陽道「3000台とんだ大迷惑」 たった30台のせいで消えた「16時間の日常」――個人の“大丈夫”とインフラが噛み合わなかった現状を考える

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2026年1月2日、山陽道で約30台のノーマルタイヤ車が雪に立ち往生し、3000台が最大23km渋滞。個人判断に頼る高速道路の安全性と、制度・技術による事前対策の必要性が浮き彫りになった。

立ち往生の連鎖

冬用タイヤ規制の情報を伝える電光掲示板(画像:写真AC)
冬用タイヤ規制の情報を伝える電光掲示板(画像:写真AC)

 高速道路では、たった1台の立ち往生が数十台、場合によっては数百台の交通に影響を及ぼすことがある。実際、1台の車がスタックしたことで道路が遮断され、複数の車が10時間以上身動きできなくなった例もある。止まった高速道路は機能を失い、

・物流の遅延
・救急搬送の阻害
・燃料消費の増加

といった問題を引き起こす。立ち往生した車の体力や精神力だけでなく、貴重な時間も奪われることになる。

 首都高でも2018年1月、中央環状線の山手トンネルで3件の立ち往生が発生した。西新宿ジャンクション(JCT)から大井JCTまで約12kmにわたる渋滞は解消に10時間を要し、大雪の影響で首都高20路線、計230kmの通行止めが行われた。全線の通行止めが解消されるまでには97時間を要し、山手トンネルでの立ち往生の影響は距離にして約19倍、時間にして約9倍に広がった計算になる。

 別の視点もある。高速道路では積雪や路面状況に応じてチェーン規制や冬用タイヤ規制が設けられる。規制に従わなければ通行できないが、監視が不十分だとノーマルタイヤ車が走行してしまうこともある。関越自動車道では、群馬県と新潟県の県境にある関越トンネル付近で冬用タイヤ規制が行われ、通過直後の土樽パーキングエリアでタイヤチェックが実施される。

 規制の判断は簡単ではない。かけなければ積雪が予想以上に増え、かけすぎれば交通量に影響する。いずれにせよ、交通への損害は避けられない。近年は、高速道路でのスタックによる立ち往生が注目されていることもあり、首都高などでは積雪予報が出れば早めに通行止めを実施する傾向が強まっている。ただし、規制が後手に回る場合もあり、事後的に正当化されるケースもある。天候の急変は事業者にとって大きな課題だ。

 山陽道では今回の立ち往生を受け、1月11日に各IC入口で冬用タイヤ装着のチェックを実施した。その結果、本線での雪による渋滞は発生しなかったが、チェックに時間がかかり、広島県広島市の広島ICでは入口流入路で渋滞が生じた。

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