トヨタが世界を「現実」に引き戻した日――「5分で充電、10年壊れない」は実現するか? 日本車、新興国市場の主導権奪還シナリオ
欧州と米国で電動化規制が緩和されるなか、EV普及は依然限られる。新興国市場では、信頼性と利便性が価値を決める。日本メーカーは多技術戦略で生存と市場主導権を狙う。
価格競争と技術の差別化

中国メーカーは、ガソリン車と同等の価格帯でEVを投入し、短期間でシェアを拡大している。この「内巻」と呼ばれる過酷な価格競争は、
「過剰生産能力を外部に吐き出す」
ことで生じるデフレ圧力に近い。消費者は一時的な安さに引き寄せられるが、自動車は購入後の維持や資産価値が重要な商品だ。
日本メーカーはハイブリッド技術を軸に独自の差別化を図る。日産の「e-POWER」は充電の手間を避けつつ電気駆動の利点を提供し、電力インフラが不安定な地域でも高い訴求力を持つ。三菱自動車のPHVは、災害時や停電時に家庭へ電力を供給する「動く蓄電池」としての機能を備え、防災インフラとしての価値も確立している。
加えて、日本車はバッテリー寿命と下取り価格の面で優位に立つ。数年後のリセールバリュー(再販価値)で中国車を大きく引き離す事実は、車を使い捨ての電子機器ではなく長期的な資産と考えるユーザーにとって、最終的なトータルコストの低減を意味する。