トヨタが世界を「現実」に引き戻した日――「5分で充電、10年壊れない」は実現するか? 日本車、新興国市場の主導権奪還シナリオ

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欧州と米国で電動化規制が緩和されるなか、EV普及は依然限られる。新興国市場では、信頼性と利便性が価値を決める。日本メーカーは多技術戦略で生存と市場主導権を狙う。

新興国が求める車の条件

マルチ・スズキ・インディア社(画像:スズキ)
マルチ・スズキ・インディア社(画像:スズキ)

 先進国の一部では、政府主導の振興策によってEVが先進性の象徴として受け入れられつつある。しかし、都市部での限定的な利用を除けば、世界の大半の地域ではEVはまだ実用性を欠く存在である。

 新興国において、自動車は生活や物流を支える生活インフラだ。インドで高いシェアを誇るスズキの顧客が求めるのは、安価で過酷な環境下でも故障せず、毎日確実に動くことに尽きる。

 電力供給が不安定な地域では、外部充電を前提とするEVは移動の自由を脆弱なインフラに委ねることになり、リスクをともなう。また、道路が未整備で舗装率も低い地域では、EVの重い車体がタイヤの摩耗を早め、修理コストの増大につながる。

 これに対して、軽量で堅牢な日本車、とくに軽自動車は日常の足として高い信頼を得ている。現地の修理工が構造を熟知しており、どこでも修理可能な保守性の高さこそ、新興国における自動車の実質的な価値といえる。

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