「欧米EV失速 = 日本の勝利」という危うい幻想――中国知財への依存が招く構造的リスクとは
タイでは新車の4台に1台がEV、インドネシアでも前年比2.7倍の販売増。欧米の規制緩和と政策転換に安堵する間に、新興国と中国勢の電動化攻勢が、世界自動車産業のパワーバランスを急速に書き換えている。
顧客体験の変化
EVにより自動車から得られる顧客価値も当然変化する。
EVならではの加速性能や静粛性、さらには「動く蓄電池」としての災害時を想定した給電機能等が、電力供給が不安定な地域でスマートフォンのように生活に不可欠な道具として機能出来るようになっている。
中国勢は、EV推進で従来のディーラー網による複雑なメンテナンスをカットして、主要部品の交換で長く乗り続けられる操作性と維持の簡便さを世界にもたらそうとしている。
併せて、中国勢はBYDのように車種展開にも積極的である。EVバスおよびトラックが公共交通に導入されることで、乗員が日々体験する
「振動の少なさと騒音の低減」
が、電動化への心理的障壁を一気に崩す波及効果をもたらす。欧米でのEV消極化の裏で中国勢はEVをブランド品から実益の品に変えて世界を着実に拡げているのだ。EV販売の量だけでなく、生活の質の変容にも中国勢は影響を与えている。