「エスコンって何者?」 知名度不足を“年間5億円”で逆転ホームラン――日本ハム新球場を自社名で染め上げた企業の正体
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ネーミングライツ獲得の必然性

マンション大量供給時代の初期には、エスコンと同様に急成長したマンションディベロッパーは少なくなかった。これらの企業には、ほぼ一から創業した企業もあれば、既存の工務店などがマンションディベロッパーにシフトした例もある。
マンション分譲事業は土地の仕入れやゼネコンへの発注に多額の資金を必要とするため、リスクも大きい。しかし利益も大きく、企業の成長スピードは速かった。当時は、創業から短期間で上場する企業も珍しくなかった。
ただし、以前から存在する三井不動産や三菱地所、住友不動産などの財閥系、東急不動産などの電鉄系、大京などの専業系に比べると、エスコンなどの「新興勢力」は知名度が劣る。年間売上が1000億円を超える上場企業であっても、広く知られていないのが現実である。
一定の売上規模や資金力を持ちながらも知名度が低く、販売促進や人材確保に課題を抱える企業にとって、「ネーミングライツ」は魅力的な手段となる。
まして、エスコンは北海道ボールパークFビレッジ内で、マンションや商業施設、宿泊施設などの開発を直接手掛けてきた。野球場自体の事業主体は日本ハム傘下のファイターズ スポーツ&エンターテイメントだが、ビレッジ全体ではエスコンも事業主体に近い立場にある。ビレッジの成り立ちを考えれば、エスコンによる野球場のネーミングライツ獲得は自然な流れである。
エスコンの2025年3月期のセグメント別売上比率は、住宅分譲事業(大部分がマンション分譲事業)が58.9%、不動産開発事業(物流施設や商業施設、オフィスビル、ホテル、賃貸レジデンスの開発・売却)が25.0%、不動産賃貸事業が13.7%である。マンション分譲の比率は以前より下がり、総合ディベロッパー化は進んでいるが、現在でも主力事業は関西圏や首都圏でのマンション分譲だ。
北海道内でもマンション分譲事業を展開するエスコンにとって、ネーミングライツの獲得は道内での知名度向上に直結する。また、関西圏や首都圏でも野球ファンを中心に知名度向上につながっていることは想像に難くない。