「法律じゃないけど当たり前」 渋滞末尾のハザード、プロの“無言の掟”が日本の道路を守ったのか?

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高速道路の死亡事故の約1割を占める追突。渋滞末尾でのハザード点灯は法律義務ではないが、2018年東名・新東名での多重事故を契機に広がり、物流や社会損失を防ぐ現場発の安全文化として定着している。

法律にないのに浸透した渋滞末尾のハザードランプ

渋滞発見時の「ハザードランプ」はなぜ広く知られているのか?(画像:写真AC)
渋滞発見時の「ハザードランプ」はなぜ広く知られているのか?(画像:写真AC)

 高速道路の渋滞で、最後尾の車両がハザードランプを点灯させている光景は、今や日本の道路における日常的な一幕だ。このマナーは多くのドライバーに浸透しているが、道路交通法で義務づけられているわけではない。

 法的な強制力がないにもかかわらず、これほどまでに広く認知されるようになった背景には、事故が引き起こす経済的な損失を未然に防ごうとする、合理的かつ主体的な意識の広がりがある。

 ITARDA(交通事故総合分析センター)が2024年に発表した「交通事故統計分析結果【確定版】(車籍別・死亡事故編)」によると、死亡事故に占める「追突事故」の割合は、2014年ごろから概ね1割前後で推移している。「出会い頭」や「正面衝突」と並ぶ主要な事故類型として、追突は極めて重大なリスクである。

 高速道路における渋滞末尾での追突事故は、当事者の生命を脅かすだけでなく、通行止めやさらなる渋滞を誘発し、物流の遅延や移動時間の浪費といった甚大な損害を社会全体に波及させる。

 道路網という公共インフラの稼働効率を維持し、誰もが直面しうる危険を回避する手段として、各地で「渋滞最後尾でのハザードランプ点灯」を推奨する動きが本格化した。本稿では、この習慣が定着した経緯とその実益について詳しく解説する。

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